2006年10月24日

YouTubeのアートへの影響

Googleに買収されたり、その利用者の減少などが相変わらずニュースを騒がせているYouTubeですが、今回シカゴにあるRENAISSANCE SOCIETY では、現在個展が開催されているオランダの彫刻家Avery Preesmanの10分に渡るドキュメンタリーを制作し、それを9/17〜10/29までの期間限定でYouTubeに掲載しています。このドキュメンタリーはChicago Access Network Television と共同で制作されたもので、RENAISSANCE SOCIETYのディレクターであるSusanne Ghez、キュレターのHamza Walker、評論家のLawrence Rinderとの会話や、その制作に纏わる背景など様々な様子を納めています。

RENAISSANCE SOCIETY with Avery Preesman

画像処理技術の向上でインターネットやデジタル画像など、アート作品をその現場に足を運ばずともよりリアルな状態で見ることができるようになりました。しかし、作品の制作過程というものは現場に足を運んでもなかなか見ることができるものではありません。このYouTubeのような形で、ワンフィルターを置いたファインダーを通して作品や作家を事前に知ることによって、実際に展覧会に訪れる人にとっては、作品をよりリアルに、一歩踏み込んだ状態で感じることができるのではないでしょうか?

ギャラリーでは、ある作家の個展期間中に、その作家がいると告知した日には、来場者の数が通常の日よりも多くなります。その作品を鑑賞するのはもちろん、その作品を描いた人間がどのような人なのかということにとても興味があり、できればその作品に纏わる作家の言葉や、制作過程に触れたいという思いは、一人の作家の個展に足を運ぶという過程において、とても重要な要素なのではないかと思います。

今年の夏、汐留の日テレ本社で開催された"汐留ジャンボリー"というイベントで、ユキンコアキラさんというアーティストが、毎日定時にライブペイントを開催していました。回を追うごとにお客さんの数も増え、観客がその全てに引きつけられて
いる様子を目の当たりにしました。

ユキンコアキラさんのHP

ちいさなころに連れていかれた、デパートの"中国物産展"の会場で米粒に文字を書く人や、カッターの刃で絵を描く人、筆で墨絵を描く人などの前で足を止めで長いこと眺めていたのは私だけでしょうか?卓越した技術を持つその人の姿、雰囲気に吸い寄せられるのはとても自然なことで、そんな意味でも今回のようなYouTubeの利用方法は新たな可能性としてとても興味深いものだと思います。その作品や作家に対する思いを一歩踏み込んだ状態で感じることができるひとつのTOOLとして、今後も活用方法の可能性を探っていってほしいですね。Your Gallery ではすでにVIDEOアーティスト用に動画のUPLOADは可能になっているようですが、その活用方法として作家紹介としての制作過程が紹介されていたら面白いと思うのですが。。

そのほかYouTubeで見つけた輪派絵師団という日本のアーティスト集団による描画過程

輪派絵師1

輪派絵師2

輪派絵師3



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2006年10月20日

現代アートにおいて最も影響力のある100人

ArtReview magazineでは毎年恒例の"list of the 100 most powerful people in the contemporary art scene"が発表されました。相変わらず、ロンドンとニューヨークという現代アートの2大聖地に在住するアーティストや関係者がそのリストのほとんどを占めていますが、今回の最も影響力のある人物として1位を獲得したのは、フランス人のFrancois Pinault氏です。同誌では初めてのアメリカ人とイギリス人以外からの選出となりました。Francois Pinault氏は有名ブランドのGucciと世界的オークションハウスChristiesのオーナーで、昨年ヴェネチアのPalazzo Grassi美術館を買い取り、2,000以上もの自身の現代アートコレクションを展示しています。

今回のリストで注目すべき人物として、Frieze Magazineの発行人であると同時にFrieze Art Fair のディレクターでもあるMatthew SlotoverとAmanda Sharpの名が8位にランクされていることです。今年で4年目になるこのFrieze Art Fairは、今日では世界で最も重要なアートフェアの一つとして注目されています。"いかにロンドン自体が、このFriezeを中心に回っているかを考えれば、その影響力の大きさが理解できるはず。ファッションブランドも、Friezeの周りからそのトレンドを発生させているし、世界中のコレクターもロンドンにやってくる。まさに、すべてがこのFriezeの喧騒の中で起こっている。"と、ArtReviewの編集者John Weichは述べています。

また、もう1点注目すべきは100位にランクされているGoogleの存在です。Mr.John Weichによると、"私たちが話した何人ものキュレーターが、Flickr は有望な展示場としての機能を発揮するであろう。今から何年か後にはFlickrが何百万人という閲覧者にとってのキュレーターとなっているだろうと述べています。と同時に、改めて私たちがどれだけアートに関連する情報をGoogleに頼っているかを再確認せざる得ないと話しています。アーティスト、キュレーター、ディラーでさえも他の人同様に、Googleでどれだけのヒットがあったかを無視することはできないのですから。"と述べています。


このリストの98位に辛うじて村上隆さんがランクインしています。
「アートに影響力のある人」の1位はアーティストではなく、コレクター・バイヤー。アートで自己を表現し、その表現力で周りに影響を与えるアーティストを支える人間が、「誰を支持するか」という事実が最も影響力を持つということですよね。発信者ではなく、「誰が受け入れたのか」が重要なんでしょうか?

では、アーティストはこのリストに名を連ねているコレクターやキュレーターたちの目に止まるにはどうしたら良いのでしょう?Friezeのようなアートフェアに展示されるには、通常で考えたらまず日本の有名な「力」のあるギャラリーに認められ、そこで個展を開く。その後、活動を続けたとしてもFriezeのようなアートフェアに出品できるのは、そのギャラリー内でも一部でしょう。そんなの待っていたら、命がいくつあっても足りません。

機会は待っているばかりでは一向に訪れません。ネットという無料の媒体にたくさん露出し、じゃんじゃん一瞬でも人の目に触れる機会をたくさん持ってください。(もちろんネット上ばかりではありませんが)アーティストと名乗るのは自由ですから、ネット上にもたくさんの"アーティスト"の皆さんが作品を発表しています。その中で「自分の作品なんか・・」とあきらめないでください。あなたが、ダイヤの原石かも知れないということは、発信者のあなたではなく、受け止める「受信者」なのかも知れないのですから。しかも、日本人ではない可能性が高い!

これからもどんどん海外のコンペ情報や、作品を掲載できるサイトなど、皆さんの作品の「露出」に役立つような情報を掲載していきますので、是非利用してください。


From Pinault to Google ... the art world's hot 100

1: François Pinault, owner of Gucci and Christies, also owns around 2,000 pieces of contemporary art which he displays in his private gallery in a Venetian palace

2: Larry Gagosian, dealer, five galleries around the world

3: Sir Nicholas Serota, director, Tate Modern

4: Glenn D Lowry, director, Museum of Modern Art, New York

5: Samuel Keller, director of the Art Basel art fair

6: Eli Broad, Los Angeles-based collector and philanthropist

7: Charles Saatchi, collector and gallery owner

8: Matthew Slotover & Amanda Sharp, co-publishers of Frieze magazine and co-directors of Frieze art fair

9: Bruce Nauman, American artist

10: Jeff Koons, American artist

11: Damien Hirst, British artist

12: Brett Gorvy & Amy Cappellazzo, international co-heads of post-war and contemporary art at Christie's, New York

13: Robert Storr, American curator

14: Iwan Wirth, Swiss dealer, part of Zwirner & Wirth

15: Marian Goodman, New York-based gallerist

16: David Zwirner, New York gallerist

17: Gerhard Richter, German artist

18: Marc Glimcher, New York gallerist

19: Jay Jopling, owner, White Cube gallery, London

20: Mike Kelley, American artist

21: Paul Schimmel, chief curator, Museum of Contemporary Art, LA

22: Andreas Gursky, German photographer

23: Cheyenne Westphal & Tobias Meyer, auctioneers, Sotheby's

24: Barbara Gladstone, New York, gallerist

25: Thelma Golden, executive director, Studio Museum, New York

26: Victoria Miro, gallery owner, London

27: Dakis Joannou, Greek collector

28: Richard Prince, American collector

29: Don & Mera Rubell, American collectors

30: Donna de Salvo, Shamim Momin & Chrissie Iles, curators, Whitney Museum of American Art, New York

31: Daniel Birnbaum Writer, director, Portikus gallery, Frankfurt

32: Steven A Cohen, American hedge fund tycoon and collector

33: Michael Govan, director, LA County Museum of Art

34: Simon de Pury, owner, Phillips de Pury auction house

35: Sadie Coles, London-based dealer

36: Robert Gober, American sculptor

37: Eugenio Lopez, Mexican/US-based collector

38: Bruno Brunnet, Nicole Hackert & Philipp Haverkampf, directors, Contemporary Fine Art gallery, Berlin

39: Francesca von Habsburg, Austrian collector and philanthropist

40: Jeffrey Deitch, New York gallerist

41: Nicholas Logsdail Founder, Lisson Gallery, London

42: Thomas Hirschhorn, Swiss artist

43: Iwona Blazwick, director, Whitechapel art gallery, London

44: The Wrong Gallery, New York, conceptual gallery

45: Jeff Wall, Canadian photographer

46: Hans Ulrich Obrist, co-director, Serpentine gallery, London

47: Ingvild Goetz, German collector

48: Pierre Huyghe, French artist

49: UBS Swiss, investment bank and major art sponsor

50: Deutsche Bank, German bank and major art sponsor

51: Tracey Emin, British artist

52: Gilbert & George, British artists

53: Dominique Levy & Robert Mnuchin, New York gallerists

54: Harry Blain & Graham Southern, London-based gallerists

55: Roberta Smith, senior art critic, New York Times

56: Herzog & de Meuron, Swiss architects behind Tate Modern

57: Jerry Saltz, art critic for the Village Voice

58: Frank Gehry, American architect of the Bilbao Guggenheim

59: Javier Peres, Cuban-born dealer

60: Christine Macel, contemporary art curator at the Centre Pompidou, Paris

61: Eileen Norton, Los Angeles collector

62: Rosa & Carlos de la Cruz, Miami collectors

63: Ralph Rugoff, director, the Hayward Gallery, London

64: Max Hetzler, Berlin-based gallerist

65: Miuccia Prada, fashion designer and collector

66: Neo Rauch, German artist

67: Gerd Harry Lybke, German dealer

68: Carsten Höller Sweden-based Belgian-born artist, newly installed in Tate Modern's Turbine Hall

69: Maureen Paley, London gallerist

70: Zach Feuer, New York gallerist

71: Ai Weiwei, Chinese artist

72: Antoine de Galbert, French collector

73: Richard Serra, American sculptor

74: Paul McCarthy, American artist

75: Okwui Enwezor, New York-based curator

76: William Acquavella, New York gallerist

77: Matthew Marks, New York gallerist

78: Michael Ringier, Swiss media magnate

79: James Lingwood & Michael Morris, co-directors, Artangel, London

80: Thomas Krens & Lisa Dennison, director and deputy director, Guggenheim, New York

81: Matthew Higgs, chief curator, White Columns, New York

82: Lorenz Helbling, Swiss-born gallerist

83: David Adjaye, London-based architect

84: Anita & Poju Zabludowicz, London-based private collectors

85: Hou Hanru, Chinese-born curator, based in US

86: Gavin Brown, British-born New York gallerist

87: Lynne Cooke, curator at the Dia Art Foundation, New York

88: Anselm Kiefer, German artist

89: Jean-Marc Bustamante, French artist

90: Matthew Barney, American artist

91: Rem Koolhaas, Dutch architect and author

92: Ann Philbin Director, the Hammer Museum, New York

94: Anish Kapoor, Bombay-born London-based sculptor

95: agnès b. French clothing designer and gallerist

96: Luc Tuymans, Belgian artist

97: João Oliveira Rendiero, art collector and chairman, Lisbon's Banco Privado Portugues

98: Takashi Murakami, Japanese artist

99: Cai Guo-Qiang, Chinese artist

100: Google, ubiquitous internet search engine

〜Guardian Unlimited Arts October 14, 2006より〜



Frieze Art Fairの関連記事

fogless
2003年の記事ですが、その活気ある雰囲気は十分に伝わってきます
kaikaikiki

@Gallery TagBoat
posted by takita at 00:22| Comment(4) | TrackBack(0) | news | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月16日

Pollock-Krasner財団奨学金

1985年の創設以来、Pollock-Krasner Foundationは総額4300万ドルの奨学金を66カ国のアーティストに与え、その活動を支援してきました。2005-2006年度は185人のアーティストへ合計$3,216,400の奨学金を1年間の活動資金として授与しています。そのリストには日本人の名前もあり、21年間続くこのPollock-Krasner財団の奨学金制度がいかに世界的に評価されているものかが理解できます。

Pollock-Krasner FoundationはJackson Pollockの未亡人であり、また、自身もabstractアーティストとして活躍したLee Krasnerの寄付によって始まったものです。その内容は、アーティストが新しい作品を制作するために、その画材、アトリエの家賃、また、個人費用や医療費までもをカバーするもので、アーティストが制作に集中し、プロとして活躍する為の費用を奨学金として授与しています。また、同時に。この奨学金を受賞することでの優れたアーティストとしても評価されることになります。


【応募概要】
Pollock-Krasner Foundationでは年間を通して応募を受け付けていますので、応募期限はありません。この奨学金は国を問わず、絵画、造形、版画など紙を媒体として活動しているアーティストが対象となります。応募者は純粋にアーティストとしての活動資金を必要としている人を対象としており、その期間は1年間となります。奨学金は制作の関連する費用、画材、アトリエの家賃、また、個人費用や医療費まで支給しますが、その金額や期間はアーティスト個人の状況によって異なります。


【奨学金利用規制】
この奨学金は商業アーティスト、写真、映像、パフォーマンスアーティストまたはこれらに順ずるアーティストは対象としていません。また、学究者も対象としていません。

Pollock-Krasner Foundationは過去の債務、弁護士・法廷費用、土地の購入、引越し代金、設備費用、委託料や他人からの依頼による制作などの支払いに対して支給されるものではありません。また、若干の例外を除いては、旅行費用に対しても支払いは致しません。


【選考方法】
選考委員会から選ばれた、各分野の著名な審査員による選考を行います。アーティストは、カバーレター、申込書と現作品のスライドを提出します。応募資格を満たし、選考書類と作品を提出した応募者は全て選考の対象となります。その後の手順については、Pollock-Krasner Foundationから直接指示があります。審査期間中に財務資料の提示を求められる場合があります。


【再申請手続】
応募者は合否に関わらず、何度でも奨学金に申請できます。ただし、提出する作品のスライドは以前提出されたものではなく、新しいもののみ受付ます。緊急の事情を除き、再申請には12ヶ月の待機期間が必要です。応募者が最期に応募してから12ヵ月後、または、奨学生は最期の奨学金の支給から12ヵ月後から申請が可能となります。


【申請方法】
■カバーレター
■英文履歴書
■申込願書
(願書のダウンロードはこのページ の左側の"DOWNLOAD AN APPLICATION"から行ってください)
■現在の作品のスライド
*写真、CD-ROM等は受け付けません。
@回転スライドに用いられる5.1X5.1cmの35mmスライドを10枚
A各スライドには名前、制作年、作品名、サイズ、手法を記載する。
Bスライドの上下、左右等の記載
C10枚のスライドのリストとその詳細を記載した用紙

応募者も多く競争も激しいので、クオリティの高い状態のスライドを送ってください。また、10枚のスライドの中に過去の作品を含め、最新の作品を強調することをお勧めします。

上記を揃えて、

The Pollock-Krasner Foundation,Inc.
863 Park Avenue
New York, New York 10021

へ郵送してください。その際には必ず郵送者の住所を記載するようにしてください。記載のない郵送物は応募作品として受理致しません。

The Pollock-Krasner Foundationサイト



今まで紹介してきたコンペ、奨学金としては一番条件のよいものだと思います。過去の奨学金給与者の中には日本人が何人も含まれていました。申し込む英文書類もさほど多くありませんし、準備するものスライドのみ。また、参加費用もかかりません。しっかりとした財団の素晴らしいこの機会を是非利用してください。
posted by takita at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | competition | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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